ピロリ菌とは

ピロリ菌は胃の中に住み着いて、胃壁を荒らす細菌です。
ピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍、胃癌のリスクの一つです。もちろん、感染者が全員これらの病気を発症するわけではありませんが、胃がん患者の実に80%は感染者であるという報告もあり、治療や再発予防のためにピロリ菌除去が有効なことは確かです。
ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査法でピロリ菌が陽性であると判断された場合は、治療薬によってピロリ菌を除去します。除菌後の検査で陽性だった場合は、二次除菌を行います。二次除菌までの除菌成功率は95%以上です。二次治療までは保険が適用されます。
ピロリ菌除去は若いうちから始めると特に効果が大きいとされています。慢性胃炎や胃潰瘍に悩まされている場合は、検査を受けることをおすすめします。
◎ピロリ菌が人体に与える影響は3点あります。
  • 慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を誘発します。
  • 胃がんになる確率が20倍以上に跳ね上がります。
  • 胃MALTリンパ腫といった胃の病気にかかりやすくなります。

尿素呼気検査

尿素呼気検査とは、ピロリ菌が胃内に生息しているかどうか調べる検査です。
①空腹時に息を専用のバッグに吹き込みます。
②尿素を含んだ検査薬を服用します。
③20分後にもう一度息をバッグに吹き込みます。
尿素呼気検査は検査に伴う苦痛も危険なく、非常に精度の高い検査です。

内視鏡による検査

ピロリ菌について内視鏡検査を行う目的は
①ピロリ菌によって引き起こされる慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃癌の有無を調べる。
②ピロリ菌が感染したことがあるか?今も感染しているかについて、ほぼ診断できます(確実に診断するには、小さな粘膜を採取して行う迅速ウレアーゼテストと培養検査を行います)。

除菌後のフォロー

治療が終わったら、除菌が成功しているかどうかを検査で判断します。検査は呼気検査、内視鏡検査、血液検査、尿検査などが一般的です。除菌に失敗した場合は、二次除菌をします。二次除菌も含めた除菌成功率は95%ぐらいです。
しかし、除菌に成功したからそれで全て終わり、というわけではありません。ピロリ菌を除去したのに胃がんを発症したというケースも有ります。除菌成功後も定期的に検査を受けるようにしましょう。
また、ピロリ菌を除去すると胃酸の分泌が増えるため、逆流性食道炎を発症することがあります。逆流の症状が見られるのは除菌をした人の10%ぐらいで、食道炎は軽症で一時的と言われておりますが、胸やけ、胸痛など症状によっては医師の診察を受けたほうが良いでしょう。